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マンション購入で検討する立地について聞いたところ、「勤務先や子供の学校に近いエリア」が震災前の39・3%から震災後は64・7%に増えた。「実家や親族宅に近いエリア」は30・0%から60・7%となった。
調査は4月9〜11日に首都圏の30〜59歳の男女を対象にインターネットで行い、150人が答えた。
<編集部からのコメント>
不動産業者の方のみならず、これから住宅の購入や新築、住み替えを検討している方にとっても気になるのが、東日本大震災によってマイホームのニーズがどのように変化したのか、という点です。
直接震災の影響を受けていない西日本ではそれほど変化はないかもしれませんが、やはり首都圏を含め東日本全体ではニーズが大きく変化したとしても不思議ではないと思います。
上記記事では、そういった変化を示唆する調査結果が紹介されております。具体的には震災前と震災後とで、マンション購入の際の立地について、以下のような意識の変化があった、ということですね。
・勤務先や子供の学校に近いエリア : 39・3% → 64・7%
・実家や親族宅に近いエリア : 30・0% → 60・7%
震災直後の交通網の混乱の中で多くの「帰宅難民」が発生しましたから、勤務先の近くに住みたくなった気持ちは理解できます。
また同様に、親族のサポートを得たいと思った人や、実際にサポートを得られた人は、親族の近くに住む必要性を痛感したことと思います。
とすると全般的には、勤務先に近いところに親族が集まってくる「都心回帰」の動きがより鮮明になってくるのかもしれませんね。
しかしそれ以上に、地盤だったり、津波や火事の危険性に関心が高まっているような気がしますが、それらは調査結果には現れなかったのでしょうか?読売広告社のHPをチェックするとこういうことになっております。
◆積極的に検討したい立地特性
震災前と比較すると、高台エリアに対するニーズが伸びている一方で、湾岸エリアへの関心が下がっており、これはまさに震災の影響と思われます。
一方で、湾岸エリアを除けば、それ以外の立地特性に対するニーズはどれも大きく伸びており、正直、不自然な感は否めません。普通この手の調査はどれかが上がれば、どれかが下がるというようにバランスが取れるものだと思いますが、これだけ見ると、「どんな立地でもニーズが高まっている」というように見えます。
ではマイホームのニーズが全般的に震災により高まり、消費者が前のめりになっているかと言うと、恐らくそれはないでしょうから、やはり不自然ですね。
もしかすると、震災前より下がってしまったニーズは意図的に省いているのかもしれませんが、だとするとあまり参考になりませんね。
さて気になった調査結果はむしろこちらの方かもしれません。
◆震災後のマンションの購入意欲の変化
やはり全体的には購入意欲は減退しておりますね。4割の人の購入意欲が減退した、ということですから、単純に計算すれば、首都圏のマンション販売は短期的には4割近く減少すると考えてもおかしくありません。
被災地の復旧・復興が喫緊の課題であることは間違いありませんが、それ以外の地域での消費マインドの冷え込みも大きな問題ですね。今回の震災被害を忘れるわけにはいきませんし、教訓とすべきものは教訓とすべきだと思いますが、一方で、やはりどこかで前に歩き始めることも必要です。
景気への悪影響も心配ですし、どこかで踏ん切りをつけ、こういった不動産の購入意欲についても元に戻っていくことを期待したいと思います。もちろんそれが、回りまわって被災者の方々への支援にもつながっていくわけですしね。